ジョークRFCで学ぶ通信技術 | 伝書鳩を利用したIP通信の標準化について

RFC1149「鳥伝送によるIP(Internet Protocol)の標準化」とは1990年のエイプリルフールに登場したジョークRFCです。
長い間ネタにされているジョークRFCで、1999年にRFC2549「鳥伝送によるIPのサービス品質」、2011年にRFC6214「RFC1149のIPv6拡張」という拡張版RFCが2つも登場するほどです。
当記事では通信技術が発達してきた現代に抗うように、伝書鳩を使ってデータ転送をしようとするRFC1149について開設していきます。
RFC(Request For Comments)
RFCとはインターネット技術の標準化を記した文書のことです。技術の標準化を進める「IETF(Internet Engineering Task Force)」という団体が議論してから公開しており、無料で誰でも閲覧することができます。
IETFが議論してから公開されるため真面目で需要のなる標準化文書が多いのですが、エイプリルフールの日だけジョークまみれの文書が公開されます。
数字が大きいほど新しい文書で、現在8000ほどの文書が存在します。当記事で紹介するRTF1149は1149番目の文書になり、ジョークRTFの中でもかなり初期の文書になります。
RTF1149文書
RTF1149は有名なジョークRTFの一つで、インターネット通信を勉強している方は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
RTF1149の拡張版RTFとして、1999年に「鳥伝送を利用したIPのサービス品質」について書かれているRTF2549、そして2011年に「RTF1149のIPv6拡張」について書かれたRTF6214が発行されています。
拡張版が2つもでるほど有名なRTF1149を悪戦苦闘しながら翻訳したり、誰でもわかるように専門用語は解説を入れましたので、主要な部分だけでも紹介できればと思います。
今回紹介する文書が公開されているリンクを置いておくので、全て読んでみたい方は先に読んでみてください。
概念と根拠
概念と根拠では伝書鳩の特徴について詳しく書かれています。
Overview and Rational
Avian carriers can provide high delay, low throughput, and low altitude service. The connection topology is limited to a single point-to-point path for each carrier, used with standard carriers, but many carriers can be used without significant interference with each other, outside of early spring. This is because of the 3D ether space available to the carriers, in contrast to the 1D ether used by IEEE802.3. The carriers have an intrinsic collision avoidance system, which increases availability. Unlike some network technologies, such as packet radio, communication is not limited to line-of-sight distance. Connection oriented service is available in some cities, usually based upon a central hub topology.
引用元:RFC1149文書
データ転送を伝書鳩で行うことで、高遅延、低スループット、抵高度のサービスを提供できるそうです。
「高遅延=遅延時間が長い」「低スループット=届く量が少ない」「抵高度=物理的に低い高さで鳥が運ぶ」という、自虐2、ネタ1の文書です。
単位時間内の処理できる量を示しており、データ転送速度や通信速度を示すときに使用されます。
春先になると、多くのキャリアがお互いに大きな干渉を受ける可能性があるそうです。春先は鳥にとっての「恋の季節」と呼ばれていて、伝書鳩が他の伝書鳩(他のキャリア)と干渉(恋)してしまうのでしょう。
キャリア(career)とは文字通り運ぶ人という意味で、一般的に通信事業者のことを指しますが、今回は伝書鳩のことを指します。
キャリアには衝突回避機能が備わっているため可用性が高いそうです。一般的なデータ通信ができるだけ通信障害が発生しないように設計を行うように、伝書鳩も物理的に障害を回避することで可用性を高めてくれるようです。
システムが継続して稼働できる度合いのこと。
運送形式
運送形式ではデータの種類や大きさ、読み取り方法について書かれています。
Frame Format
The IP datagram is printed, on a small scroll of paper, in hexadecimal, with each octet separated by whitestuff and blackstuff. The scroll of paper is wrapped around one leg of the avian carrier. A band of duct tape is used to secure the datagram's edges. The bandwidth is limited to the leg length. The MTU is variable, and paradoxically, generally increases with increased carrier age. A typical MTU is 256 milligrams. Some datagram padding may be needed. Upon receipt, the duct tape is removed and the paper copy of the datagram is optically scanned into a electronically transmittable form.
引用元:RFC1149文書
IPデータグラムは、小さな紙の巻物に16進数で表示します。各オクテットはホワイトスタッフとブラックスタッフで区切り、この紙を鳥の片足に巻きつけるそうです。
IP(Internet Protocol)データグラムなので普通の伝書鳩のように文字を伝えるのではなく16進数の数列のみを送るようです。ホワイトスタッフとブラックスタッフが何かわかりませんが(色を白と黒で区切るのか?)、オクテットで区切るので「A2-F5-6B-CE-CB-B2-FA-DC」のように2桁ずつで区切った16進数の数字列を鳥の足に巻くそうです。
情報量の単位で8ビットのこと。また4ビットをまとめたものをニブル(nibble)という。
帯域幅は足の長さに比例します。MTUは可変であり、逆説的にキャリアの年齢が上がると増加するそうです。
伝書鳩の年齢が上がれば紙を巻く足が大きくなるので、送信できるデータ量が大きくなるという意味です。
一回に送信できる最大データの大きさのことを指します。
受信後はダクトテープを剥がして、データグラムが書いてある紙媒体を光学的にスキャンして、電子的に送信可能な形態に変換されます。
かっこよく書かれていますが、足についているダクトテープを剥がして、紙を目(光学的)で見て(スキャン)して、脳で理解する(電子的に送信可能な形態に変換)という意味でしょう。
アメリカでよく使われているテープで、ガムテープよりも粘着性が高いです。
議論
議論では提供しているサービスについて詳しく書かれています。
Discussion
Multiple types of service can be provided with a prioritized pecking order. An additional property is built-in worm detection and eradication. Because IP only guarantees best effort delivery, loss of a carrier can be tolerated. With time, the carriers are self-regenerating. While broadcasting is not specified, storms can cause data loss. There is persistent delivery retry, until the carrier drops. Audit trails are automatically generated, and can often be found on logs and cable trays.
引用元:RFC1149文書
ワームの検出機能と駆除機能を内蔵している。
伝書鳩が虫(ワーム)を自動で見つけて、駆除までしてくれるそうです。
コンピュータウイルスの一種で感染力が高く、コンピュータに侵入すると爆発的に自己増幅をしてPCの処理速度を落としたり、メールやSNSを利用して他の端末に感染リスクのあるURLを送信する。
インターネット通信サービスはベストエフォート保証なのでキャリアの損失は許容する。またキャリアは時間経過で自己再生を行う。
ネットワークの種類についてはベストエフォート保証だから、伝書鳩がどっかにいってデータがなくなっても許容されるそうです。また伝書鳩が怪我をしても、時間経過で回復します。
最大限の努力という意味で、通信速度の下限値保証がなく最大値は公表されるが、実際の通信速度が常時変化することが多い。
ブロードキャストは指定されていませんが、嵐によってデータの損失が発生することがあります
嵐で伝書鳩が吹き飛ばされてデータが損失することと、ブロードキャストストームによるサーバダウンでデータが損失することを欠けています。
ブロードキャストを行う2台以上のネットワークでループが発生して、データや信号を転送し続ける状態のことです。
監査証跡は自動的に生成され、多くの場合、ログやケーブルトレイで確認することができます。
監査証跡(伝書鳩のフン)が移動経路に自動生成(排泄)され、多くの場合、伝書鳩のフンはログ(木の幹)やケーブルトレイ(わからない)で確認できるそうです。
セキュリティについて
Security Considerations
Security is not generally a problem in normal operation, but special measures must be taken (such as data encryption) when avian carriers are used in a tactical environment.
引用元:RFC1149文書
通常の運用ではセキュリティに問題がありません。しかし、鳥類キャリアが戦術環境で使用される場合には、データの暗号化などの特別な対策が必要です。
戦争や争いで伝書鳩を使うなら敵に情報が漏れる可能性があるので、暗号化をした方が良いそうです。
まとめ
1990年から始まったジョークRTF「鳥を利用したIPデータグラムの転送」について紹介しました。
この記事を読んでもっと詳しく知りたい方は、RTF1149の拡張版である1999年のRTF2549と2011年のRTF6214について調べてみてください。
翻訳や知識が拙く間違った解釈をしているかもしれませんが最後まで読んでくださいありがとうございました。